絶壁(短頭症)に対するヘルメット治療の必要性と効果
絶壁(短頭症)の治療をご相談されることが多いために、今までの治療経験に基づく私見をまとめてみました。
後頭部斜頭症と併発する絶壁(短頭症)
赤ちゃんの頭蓋骨は非常に柔らかいために、仰向けに寝ると重力の影響を受けて後頭部に圧がかかり絶壁(短頭症)になることが多いです。特にうつ伏せ寝が乳幼児突然死症候群の危険因子であることが判明したため、うつ伏せ寝から仰向け寝に一大転換が図られしました。しかし、その結果として絶壁(短頭症)が飛躍的に増加してしまいました。
また向き癖が強い赤ちゃんには後頭部斜頭症の絶壁(短頭症)を合わせ後頭部斜頭症を持つことが多く、これも重力による頭蓋骨への圧が原因と考えられています。
絶壁(短頭症)の治療は難しい
そもそも日本人(アジア人)は欧米人と比べると圧倒的に絶壁の民族です。なので日本人の赤ちゃんの絶壁を矯正するのはかなり難しいと私は考えています。また体積比率の後頭部左右対称率と異なり、短頭率は長さの比率で評価しますので、短頭率を1でも改善するのには後頭部左右対称率と比較にならないくらいの労力を要します。
ヘルメット治療をもってしても絶壁(短頭症)を改善させるには大変なので、私はヘルメット治療なしにドーナッツ枕などを使い自然のままに治すのは大変厳しいと考えます。
こうした理由から、絶壁(短頭症)を改善したい場合には頭蓋骨がまだ柔らかい月齢が早い時期からの治療ををお勧めします。具体的には月齢2-4ヵ月ぐらいです。月齢6ケ月ぐらいは後頭部左右対称率の治療にはぎりぎり治療適正時期にはなりますが、絶壁(短頭症)の治療には少し遅いくらいと考えています。
科学的データを近日発表します
2023年にはヘルメット治療による後頭部左右対称率の改善についての科学的データを発表することができました。ヘルメット治療による絶壁(短頭症)の改善についてデータをまとめているところで、2024年には科学的に考察したデータを発表できることになると思います。