頭蓋骨矯正ヘルメット治療のデメリットはある?
デメリットの少ないヘルメット治療
ヘルメット治療を考えているご両親からヘルメット治療のデメリットを質問されることが多いために、今までの治療経験をもとに改めて考えてみましたが、実は思いつくデメリットはあまりありませんが、強いて挙げるとすると「皮膚のトラブル」と「頭蓋骨の成長の阻害の可能性」の2つです。
皮膚のトラブル
ヘルメット治療では20時間以上ヘルメットを装着するために皮膚のトラブルが起こることがあります。特に今年のような酷暑の夏だと皮膚のトラブルの危険性は高まります。
しかし、クルムを導入したこの夏には思ったよりも皮膚のトラブルは起きませんでした。おそらくアイメット時代よりも1/10くらいでないかと思います。また、アイメット時代も含めて皮膚のトラブルでヘルメット治療を中止したことは一度もありません。
私の中ではヘルメット治療での皮膚のトラブルは克服したように感じます。
頭蓋骨の成長の阻害
クルムやアイメットではスポンジの厚みを調整して扁平している部分に空間を作ることにより頭蓋骨の成長を促すという頭蓋骨の矯正の方法を取っています。頭蓋骨に無理な圧をかけることはありません。
一方で、中には頭蓋骨に圧をかけて歪みを治すという方法をとる頭蓋骨矯正ヘルメットも中にはあります。私はこうした頭蓋骨に圧をかける方法でヘルメット治療をしたことはありませんが、脳神経外科専門医としての立場では、このやり方は頭蓋骨の成長を妨げたり、皮膚のトラブルを増長する要因になり得るのではないかと危惧しております。
このことが私がクルムやアイメットを使っている一番大きな原因です。
ヘルメット治療と一言で括られることが多いですが、治療方法はヘルメットやメーカーによって大きく異なります。どの治療法を選択するかはよくお考えの上でご選択ください。
脳神経外科の常識を覆すヘルメット治療
「頭の形を矯正できる」
このことは治療の適正時期があるものの、今までの脳神経外科の常識からすると考えられないくらいに画期的な治療です。私も以前に頭の形が歪んでいる赤ちゃんのご両親から相談されたことがありましたが治すことは不可能ですと答えていました。たかだかドイツに留学する前の10年前の話です。
私が赤ちゃんの頭の形のための頭蓋骨矯正ヘルメットを治療を始めた3年前と比較すると、ヘルメット治療は世間に広まってきたなと感じますが、治療法はいまだに玉石金剛なのは事実です。
治療するヘルメットを選択する際は各ヘルメットごとのメリットとデメリットを比較した上でご検討ください。